RRR工法とは
RRR工法(Reinforced Railroad with Rigid Facing-Method)とは、補強土工法の原理を用いて、従来形式の擁壁の代替え工法として開発された新しい土留め(補強土擁壁)工法です。従来の擁壁は、力学的に考えれば、土による作用外力(土圧)に対して、躯体重量や基礎の地盤反力で支えようとする構造であり、土と敵対し、力には力で対抗しようとする思想の構造物でした。これに対して補強土擁壁工法は、土中に引張り補強材を配置することにより土自身の安定化を促進する方法であり、土と共存しようとする思想の構造物です。
RRR工法は、適用箇所において盛土と地山の違いによって大きく2つに分けられます。
すなわち、
RRR-B工法:盛土補強土擁壁工
RRR-C工法:地山補強土擁壁工
と呼ばれる2つの工法で、いずれの工法も剛性の高い一体型壁面工を打設構築することを特長としています。
RRR-B工法は、面状補強材(ジオテキスタイル)と剛壁面を用いて盛土のり面を鉛直に構築する盛土補強土擁壁工法です。 一方、RRR-C工法は、棒状補強材と剛壁面を用いて斜面を急勾配化する地山補強土擁壁工法です。
補強土壁工法の先駆的な工法としては、テールアルメ工法がありますが、テールアルメ工法はストリップと呼ばれる鋼製帯状補強材と スキンと呼ばれるパネル壁面によって構成されています。これに対して、RRR-B工法は、合成高分子系面状補強材(ジオテキスタイル、あるいはジオシンセテックス)と 場所打ちコンクリート壁面(曲げ剛性の高い一体壁面)工を組み合わせた構成になっており、短い補強長で高い安定が得られるところに特長があります。
この他にも、RRR工法の関連工法として、RRR-A工法と称す、面状補強材を用いて補強土橋台、補強土橋梁を構築する補強土橋台工法があります。本工法は、兵庫県南部地震のような大地震(L2地震動)に対しても十分な耐震性を有する新しい橋台・橋脚を提供することを目的に 開発されたもので、ジオテキスタイルで橋台・橋脚と背面のセメント改良土を連結することによって、抜本的に耐震性を向上させることが可能となりました。
なお、RRR工法は特許工法で数多くの特許から成り立っています。特許の実施に当たっては実施権の許諾を受けたRRR工法協会の正会員会社が行えます。ただし、正会員以外で「RRR-B工法」の施工を希望する建設業者に対しては、1工事1契約限りの「臨時会員」としてRRR工法協会に入会することにより施工が可能となります。詳細については、RRR工法協会事務局にお問い合わせください。
<補強土橋台工法>
(RRR-A工法)
<盛土補強土壁工法>
(RRR-B工法)
<切土補強土壁工法>
(RRR-C工法)
RRR工法の概要
工法名 |
構造物の種類 |
略称 |
RRR-A工法 |
補強土橋台・橋梁工法 |
補強土耐震性橋台 |
RRR-GRS 橋台 |
補強土併用一体橋梁 |
補強盛土一体橋梁 |
RRR-GRS 一体橋梁 |
既設盛土一体化橋梁 |
RRR-NRS 一体化橋梁 |
RRR-B工法 |
剛壁面盛土補強土擁壁工法 |
盛土補強土壁 |
RRR-GRS擁壁 |
RRR-C工法 |
剛壁面切土補強土擁壁工法 |
切土補強土壁 |
RRR-NRS擁壁 |
RRR-D工法 |
水際防災補強盛土工法 |
補強土併用一体堤防 |
RRR-GRS 防潮堤 |
関連工法 |
補強土ボックスカルバート工法 |
補強土併用ボックスカルバート |
RRR-GRS 一体ボックスカルバート |
トンネル坑門補強土工法 |
補強土併用トンネル坑門壁 |
RRR-GRS トンネル坑門 |
RRR-Nail工法 |
ディッシュアンカー工法 |
中径~大径棒状補強体による法面安定化 |
RRRネイル |
キャロットアンカー工法 |
ロータスアンカー工法 |
その他の工法 |
補強土式掘削土留め工法 |
親杭横矢板などの土留め工の支保工としてRRRネイルを用いる工法 |
既設斜面の耐震・耐降雨補強工法 |
自然斜面、切土のり面、盛土のり面のRRRネイルとのり面工による補強工法 |
既設擁壁・橋台補強工法 |
既設擁壁・橋台などのRRRネイルとRC壁体を用いての耐震補強工法 |
ピンナップ工法 |
自立性を有する地山の前面に施工された石積み擁壁の耐震補強工法 |
道路構造物に適用された「RRR-GRS擁壁」の例
山形自動車道の四車線化拡幅工事(壁高さ11.5m)
国道1号線 西湘バイパスの災害復旧工事
「RRR-GRS橋台」と「RRR-GRS一体橋梁」の例
RRR-GRS橋台
北海道新幹線架道橋(RC)三陸鉄道ハイペ沢橋梁(SRC)九州新幹線原種架道橋(PCT桁)